May 11, 2024
優勝した藤永北斗
2024年5月8日(水)から10(金)にかけて、2024シーズンのJPBA男子開幕戦となる「吉川高広税理士事務所プレゼンツ男子プロボウリングトーナメント2024」が、東京都北区にあるサンスクエアボウルにて開催され、プロ2年目の藤永北斗(61期・ライセンスNo.1443)が大会で3つのパーフェクトゲームを記録するなど、圧倒的な強さを見せつけプロ初タイトルを獲得した。
藤永は、優勝決定戦でプロ入り同期の内藤慎之介(61期・ライセンスNo.1444)との大接戦を238ー231で制し、「北斗無双」と称されるほど高スコアを連発し他の選手を引き離した今大会を、見事優勝で締め括った。
(左から)特別協賛の吉川高広税理士事務所長、藤永、内藤、山本、大久保、JPBA谷口健会長
本大会は、大会名にもなっている吉川高広税理士事務所の特別協賛により今シーズン新設されたA公認トーナメントで、男子トーナメントプロ139名が出場した。
大会で使用されるオイルパターンは、長さ43フィートでオイル量が31.6mlの本大会オリジナルパターン。男子トーナメントでは中程度と言えるオイル量のパターンが採用された。
予選は出場選手が2つのシフトに分かれ12ゲームを投球し、トータルピン上位30名が準決勝に進出する方式。オイルの変化を激しく感じる選手が多いコンディションであった影響もあり、ビッグゲームを連発する選手は少なく、準決勝進出のためには210点前後のスコアが求められる展開となった。
その中で一人、予選からビックゲームを連発させたのは、昨年プロ入りの期待の新人・藤永北斗。予選1日目、4ゲーム目に大会第1号となるパーフェクトゲームを達成すると、続く5ゲーム目も300点とし、「練習でも出したことがない」と話した2ゲーム連続のパーフェクトゲームを達成。前半6ゲームで2位の永野すばる(40期・ライセンスNo.974)に147点差をつけ、予選1日目を首位で折り返す。
予選2日目も藤永の勢いは止まらない。9〜11ゲーム目には3ゲーム連続9フレーム目までストライクを続けるナインコール。この日はパーフェクトゲーム達成こそならなかったものの、12ゲームでアベレージを262点とし、2位の山本勲(44期・ライセンスNo.1078)にトータル400点差をつけ、予選1位通過を決めた。
準決勝は、予選を通過した30名が6ゲームを投球し、予選と合わせたトータルピン上位16名が、決勝ラウンドロビンに進出する方式。
予選から好調だったレフティーの選手たちが、準決勝でもスコアを伸ばす展開となる。特に順位を上げたのは、藤永と同じく昨年プロデビューの内藤慎之介。4ゲーム目には大会第3号のパーフェクトゲームを達成するなど、準決勝ではトップのスコアとなる6ゲーム1502点をマークし、2位まで浮上する。2022年に本大会と同じくサンスクエアボウルで開催された「APA PRESENTS 2022 KING’S & QUEEN’S プロボウラーズトーナメント」で優勝している大久保雄矢(60期・ライセンスNo.1429)も5ゲーム目にパーフェクトゲームを記録し、順位を7位まであげた。決勝ラウンドロビン進出を決めた16名中12名がレフティーとなり、今大会における左利き選手の好調さを印象づける展開となった。
▽決勝ラウンドロビン進出選手
藤永北斗、内藤慎之介、山本勲、小林哲也、斉藤征哉、斉藤祐哉、大久保雄矢、江川司、斉藤琢哉、堀ノ内智大、永野すばる、森本健太、小原照之、田中義一、甘糟翔太、髙田浩規(決勝ラウンドロビン進出順位順)
決勝ラウンドロビン第一グループの選手たち
決勝ラウンドロビン第二グループの選手たち
決勝ラウンドロビンは、このラウンドに進出した16名が8名ずつ第一グループ及び第二グループの2つのグループに分かれ、グループ内の7名と各1ゲームずつ総当たり形式で対戦し、トータルポイント上位4名が決勝ステップラダーに進出する方式。
まず4名のステップラダー進出をかけ好スタートを切ったのは、第一グループの斉藤征哉(47期・ライセンスNo.1180)。準決勝を5位で通過すると、ラウンドロビン1ゲーム目には、準決勝を4位で通過していた小林哲也(48期・ライセンスNo.1198)を255ー222で下し3位に浮上する。しかし、続く2ゲーム目の斉藤(征)の対戦相手は、ここまで無類の強さを見せている藤永。228点をマークした斎藤(征)に対し、藤永は今大会自身3つ目となる300点を叩き出し完勝。藤永は、その後もビッグゲームを連発し、ラウンドロビン7戦全勝。2位に650ポイント以上の差をつけ、決勝ステップラダーのトップシードを確保した。
第二グループでは、予選から上位で試合を展開した山本が、4ゲーム目から279点、256点、258点と高スコアを連続させ、藤永に続く2位で決勝ステップラダー進出を決めた。準決勝を7位で通過した大久保は268点、290点とビッグゲームで好スタートを切り、2ゲーム目終了時点で2位まで浮上する。その後2ゲーム連続で敗れる苦しい時間帯もあったが、最終ゲームに259点をマークし、決勝ステップラダーに3位で進出を決めた。準決勝を2位で通過した内藤は、ラウンドロビンに入ってからスコアを伸ばせない展開が続いたが、5ゲーム目と6ゲーム目を連勝。5位とのポイント差を守り切り、決勝ステップラダー4位進出を決めた。
決勝ラウンドロビン最終成績
4位決定戦
決勝ステップラダー1戦目は、3位通過の大久保と4位通過の内藤の対戦。
まずは、内藤が第2フレームからターキーで先手をとる。一方の大久保は、右のレーンでは確実にストライクを出していくが、左レーンでストライクを続けることができない。スコアを伸ばせない大久保に対し、内藤は第6フレームから再びターキーでリードを広げる。最後まで左レーンの攻略に苦しんだ大久保を、内藤が234ー207で制し、3位決定戦進出を決めた。
第4位・大久保雄矢
– 内藤慎之介 234– 大久保雄矢 207
3位決定戦
勝ち上がった内藤を待ち受けるのは、永久シード権獲得の20勝目まであと1勝に迫っている山本。ステップラダー進出の他3名の選手がウレタンボールを使用する中、山本はリアクティブボールを選択する。
このゲームでも、序盤でリードを奪ったのは内藤だった。第5フレームまでに2つのダブルで、7番ピンタップに苦しむ山本を引き離していく。ストライクが出せない山本は、第4フレームにボールを変更。第5フレームには最初のストライクを出すが、その後もレーン奥の曲がりの甘さに苦戦し、ストライクが続かない。ゲーム中盤をスペアで繋いでいた内藤が、第8、第9フレームでダブルを出し勝利を確定させた。勝負に負けた山本も、第10フレームには6-7番ピンのスプリットメイクを見せ、会場を沸かせた。
第3位・山本勲
– 内藤慎之介 236– 山本勲 176
優勝決定戦
ともに2023年プロデビューの同期生対決となった藤永と内藤の優勝決定戦。どちらが勝っても、公式戦初優勝となる。
本大会ここまで、3つのパーフェクトゲームと2つの800シリーズを達成している絶好調の藤永が、どのようなゲームを見せるのか注目された。
トップシードで内藤を迎えうつ藤永北斗
4位から勝ち上がった内藤慎之介
しかし、この大舞台でも先行したのは内藤。大久保、山本も苦しんだ左レーンでストライクが続けられない藤永から、4連続ストライクでリードを奪う。第5フレームにスプリットを残しオープンフレームとなるも第6フレームから再度ストライクを続ける。一方の藤永も内藤がオープンフレームとした直後の第6フレームに最初のダブルをマークすると、そこからストライクを続ける。ゲームはストライクが途切れた方が敗れるかのような様相を呈していくが、先にストライクが途切れたのは藤永だった。第9フレームに7番ピンを残してしまう。内藤はこの直後のフレームでもストライクを続け、勝利に大きく近づく。第10フレームでスペアかストライクをとると勝利が確定する内藤であったが、ここまで全てストライクとしていた右レーンで痛恨のスプリット。このフレームをオープンとし、231点でゲームを終える。内藤の第10フレームにより優勝の可能性が残った藤永だったが、依然としてダブルが必須条件。第10フレーム1投目に確実にストライクを出し、チャンスを繋げる。ストライクで優勝がほぼ確実となる第10フレーム2投目。「今までにないくらい震えた」と語った一投は、これまで投げていたラインよりやや内側を通ったが、「気持ちで倒れた」という薄めのピンアクションでストライク。魂の雄叫びを見せ、予選から圧倒的リードで首位を独走した今大会を見事な完全優勝で締め括った。
優勝が確定した瞬間の藤永
– 藤永北斗 238– 内藤慎之介 231
優勝決定戦前に握手を交わす内藤と藤永
優勝トロフィーを持つ藤永
――優勝おめでとうございます
藤永ありがとうございます。
――熱い10フレ勝負を制しての優勝。今の気持ちは?
藤永内藤プロは61期生の同期で、同じ左利きで強敵だと思って戦いました。今日は、ステップラダーから勝ち続けてきて、負けたくない相手だったので勝てて本当に嬉しいです。
――今大会は、準決勝終了時点で上位10名がレフティーとなる異例の試合展開だったが、その中で優勝できた勝因は?
藤永初日からすごく調子が良くて、300点も連続で出せたり、800シリーズが出たりと、練習でも出ないようなスコアが出ていたので、この勢いで最後まで勝ち抜こうと頑張りました。
――藤永プロのための大会とも言えるくらい素晴らしい記録が達成される開幕戦となったが、今シーズンはどのように戦っていきたいか?
藤永この優勝で、今年のいいスタートが切れたと思います。この勢いで、今年は三冠王目指して頑張りたいと思います。
本大会はYoutubeでアーカイブ配信されている。
https://www.youtube.com/live/jwyENga-_ow?si=-7N7rgNpwxUroytC
記事内写真ダウンロードは下記から
Text,Edit:Ariyoshi Ono
Photography:MICHELMITO