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TOUR REPORT

2023 アンドンカップ インターナショナルトーナメント

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January 09, 2024

2023年12月22日〜12月26日にかけて、韓国プロボウリング協会(以下、KPBA)主催の「2023アンドンカップ インターナショナルトーナメント」が、韓国安東市で開催された。会場は、韓国安東市にあるアンドンボウリングスタジアムとヨンサンボウリングスタジアム。予選は2会場に分かれて行われ、準決勝から決勝はメイン会場となるアンドンボウリングスタジアムで行われた。

2023 Andong cup

本大会はKPBAツアーの公式戦で、KPBAシードプロ男子100名・女子50名、選抜大会通過者120名、スポンサー推薦10名に海外招待選手40名を加えた320名が出場した。日本からは、日本プロボウリング協会(以下、JPBA)男女プロとナショナルチームメンバーを含めたアマチュア選手、計14名が出場した。

▽出場日本選手
JPBA:加藤祐哉(男子43期)、川添奨太(男子49期)、堀井千恵(女子45期)、髙田浩規(男子52期)、坂倉にいな(女子47期)、坂倉凜(女子50期)、大久保咲桜(女子50期)、佐藤貴啓(男子57期)、藤永北斗(男子61期)、小野在由(男子61期)、石田智輝(男子61期)
全日本ボウリング協会(以下、JBC):入江菜々美(女子ナショナルチーム)、渡辺莉央(女子ナショナルチーム)、松岡拓矢



予選ラウンド

2会場に分かれて行われた予選ラウンドは、アンドンボウリングスタジアムで200名が投球し上位34名、ヨンサンボウリングスタジアムで120名が投球し上位21名が準決勝に進出する方式。プロトーナメントとしては、難易度の高くないオイルパターンが採用された影響もあり、準決勝進出のためにはアベレージ230以上の高スコアが要求される展開となった。

アンドンボウリングスタジアム会場では、前週行われていた「クリスマンメモリアル・ストームカップ・インターナショナルインターナショナルチャンピオンシップ」で優勝した、Kim soo-yongが、アベレージ260点で1位通過。日本人選手では、川添翔太が4位、石田智輝が25位、藤永北斗が26位で準決勝進出を決めた。

ヨンサンボウリングスタジアム会場では、JPBAでも活躍したChoi Wonyoungがアベレージ254点で1位通過。日本人選手の準決勝進出はなかった。

準決勝ラウンド

準決勝ラウンドは、2会場の予選を勝ち抜いた55名が9Gを投球し、上位5名が最終日のTV決勝に進出する方式。
オイルパターンが準決勝・決勝で共通となるパターンに変更されたが、変更後のオイルパターンも難易度は高くなく、引き続き高いスコアが求められる展開が続く。TV決勝進出ラインの5位のスコアは、アベレージ250以上で推移しゲームが展開された。

日本勢でまず順位を上げたのは、藤永北斗。4G目に279をマークすると、そこから268、255と高いスコアを連続させ、4〜6G目の2シリーズ目に800シリーズを達成。一気にTV決勝進出ラインの5位まで順位を上げる。しかし7G目以降は、後半のレーン変化に苦戦し16位で終了した。予選を好順位で通過した川添翔太は、1G目227点、2G目267点と好スタートを切るも3G目に195点を出して以降、スコアを伸ばし切れない展開が続き、最終順位は34位となった。

この日主役に躍り出たのは、藤永と同じくルーキーの石田智輝。2G終了時点でトータル418点とスロースタートとなったものの、3G目に276点をマークすると、そこから高スコアを連続させ、8G終了時点ではTV決勝進出ラインまで28点差の6位まで順位を上げる。
そして「270点台以上のスコアが必要だった」と本人も語る最終ゲームでは、見事に300点のパーフェクトゲームを達成し、TV決勝進出を決めた。

1位通過は、予選ラウンドでも好調だったChoi Wonyoung。アベレージ256点で2位の石田に50ピン差をつけてTV決勝トーナメントのトップシードを確保した。


TV決勝

TV決勝は、1Gマッチのステップラダー方式。3位から5位の3名で1回戦を戦い、上位1名が2位通過選手との3位決定戦に進出。3位決定戦の勝者が1位通過選手と優勝決定戦を戦う。

1回戦は、3位通過・Choi Joonghyun(KPBA男子プロ)、4位通過・Son Hyerin(韓国女子ナショナルチーム)、5位通過・Choi Hyun Sook(KPBA女子プロ)の3名による対戦。

Choi Joonghyunが2つのダブルで序盤リードするも、6フレームにスプリットでオープンフレームを作るとストライクが止まる。Choi Hyun Sookは、序盤からストライクを続けられず苦戦する。韓国女子ナショナルチームのSon Hyerinは右側のレーンの攻略に時間がかかりダッチマンの展開が続いたが、8フレームにダブルを取ると9フレームもストライクでChoi Joonghyunを逆転。そのまま3位決定戦進出を決めた。

– Son Hyerin 219– Choi Joonghyun 200– Choi Hyun Sook 184

3位決定戦は、JPBAのルーキー石田智輝と1回戦を勝ち上がったSon Hyerinの対戦。
Son Hyerinは1回戦からボールチェンジし、3フレームからターキーで先手を取る。石田も4フレームからダブルで対抗するが、6フレームに右レーンで4-10のスプリットを残してしまう。右レーンの攻略に苦戦する石田に対し、リードを保ったSon Hyerinは8フレームからのダブルでリードを2マークに広げると、10フレームもスペアで確実に勝利を掴んだ。今大会で一気に注目を集めることとなった石田智輝は第3位で大会を終えた。

– Son Hyerin 225– 石田智輝 211

優勝決定戦は、予選・準決勝ともに1位で勝ち上がってきたChoi Wonyoungと2連勝でファイナルに駒を進めたSon Hyerinの対戦。
4フレームまでストライクが出ないSon Hyerinに対し、Choi Wonyoungはダブルとターキーで前半から確実にリードを広げていく。しかし、Choi Wonyoungが8フレームに10ピンタップすると、このスペアをミスしてしまう。ここで、一時Son Hyerinにも逆転のチャンスが訪れたが、1回戦から苦戦してきた右レーンでストライクを続けることが出来ず、チャンスをものにすることができない。

Choi Wonyoungが10フレームもパンチアウトで勝利し、自身8度目となるKPBAタイトルを手にした。

– Choi Wonyoung 234– Son Hyerin 192

2023 Andong cup

優勝したChoi Wonyoung(左から3番目)、第2位のSon Hyerin(左から4番目) 出典:韓国プロボウリング協会公式サイト


第3位・石田智輝プロ(JPBA男子61期)インタビュー

2023 An-dong cup

第3位の石田智輝 出典:韓国プロボウリング協会公式サイト

――今大会を終えて、今の心境は?
石田正直日本に帰ってきた今でも、自分があの舞台に立った実感はわかないです。
でも立てたことが事実なので、これを自信に変えてこれからのトーナメントに臨んで行きたいです。

――石田プロにとって、初めての海外挑戦と伺いました
石田海外遠征は行きたくても、出場権を取れる機会も少なく、なかなか行けないものだと思います。なので、今大会で海外遠征に行かせて頂くことが出来るという話を聞いて、挑戦するしか無いと思いました。

ここからは、各ラウンドの試合展開について伺います。

――予選ラウンドはどのような意識で投げましたか?
石田打ち合いの展開で200点を切ると上位に追いつけなくなるため、200点を切らないようにスペアを大事に、ガードを固くするイメージで攻めました。

――準決勝ラウンドはどのような意識で投げましたか?
石田予選の打ち合いのことを考えると、準決勝はそれ以上に打ち合いになると考えていました。ストライクを出しながらアジャストすることを意識してました。最終ゲームの300点は、正直運を自分のものにした瞬間だったと思います。

――5人しか進めない最終日。TV決勝はどのような意識で臨みましたか?
石田テレビ決勝まで来た以上、緊張してるのは勿体ないと思い、楽しむことだけを意識してました。6フレームにスプリットを出したことが敗因だったと思います。でも最後まで楽しめたので良かったです。

――1週間の滞在でしたが、ボウリング以外の時間はどのように過ごしていたのですか?
石田初めての海外だったので、滞在期間中の日常生活が苦しかったです(笑)。韓国語しかない日常は初めてだったので、これから韓国に行く際は、韓国語も自分の中に取り入れて行きたいと思いました。

――2024年以降の抱負を教えてください
石田2024年は飛躍の年にしたいと思います。1つ1つのトーナメントを大事に、上位を狙っていきたいです。

大会映像

本大会はYoutubeでアーカイブ配信されている。
https://www.youtube.com/live/1Csev6NVCIY?si=lF4GqmqbcmC-as1t

WRITER

小野在由
十柱戯士小野在由/Ariyoshi Ono
JPBA男子61期生・ライセンスNo.1451
10歳でボウリングを始め、学生時代は「ボウリングの聖地」と呼ばれた田町ハイレーンでボウリング漬けの日々を過ごす。大学卒業後、一度競技を離れるも2021年に競技復帰し2023年プロボウラーデビュー。現在は笹塚ボウルを拠点に活動中。



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